わっさわさ

セカンドシーズン

せこいあいつは変わらない(mm)

新入社員時代が懐かしい。

自分の必死さも初々しさも、今じゃ見られない景気の良さも、残業を何時間しても社会的にも許されていた時代すらも。

よく働いたし、よく遊んだし、よく飲んだし、当時の忙しさすらも愛おしく思える。

今は残業も事前申告しても月40時間程度までしか許されず、終わらない仕事は家に持って帰らざるを得ないんだけど、pcにログインすると本社に通知が行くらしく社用のpcは使えない、しかし顧客から催促は来る、ノルマも達成しないといけない、だから仕事はしないといけないんだけど出来ないからプライベートのpcでなんとか企画書を作る、みたいな訳の分からない状態になっていることを前職の同僚から聞いた。

 

まあ、私も新卒当時の会社からは早々に転職してしまい、同期や同僚も頑張ってはいたけれど、一気にこのコロナの波で転職しちゃった感じ。

もう知っている人も数えるほどになってしまった。就職した当時はどちらか言うと花形な業界だったのに、人生の先はわかったもんじゃない。

 

新卒だった当時、営業職だった私は色々理由があり私は精力的に仕事をしていて、なおかつ尖りまくっていた。

尖っていたのもあったが、成果も伴っていたのでかなり嫌な奴だったと思う。

余談なんだけど転職後も営業職をしており、その頃も尖っていて、しかし営業が水に合っていて私はめちゃくちゃ成績が良かった。大体毎月表彰されていて、会社からすると貴重な人材だったと思う。転職先の会社のメンバー同士はなかなか仲が良くて、私はそのノリについていけなかったんだけど、大体メンバーの誕生日がくると寄せ書きとか用意されてみんなで買ったプレゼントみたいなのも渡されていた。

でも、いざ私の誕生日が来た時、誰からも寄せ書きもプレゼントもなくて笑ってしまった。私めっちゃ嫌われてるやん!って思った。

偶然同じ誕生日だった後輩だけ祝われているのを見て、面倒くさいなと感じたのを覚えている。

でも会社は仲良しクラブじゃなくて、稼ぎに来てるところなのでまあいいかと思ってやり過ごした。多分そういう態度が余計に反感を買っていたんだと思う。

当時マネージャーをしていた人は、私より営業成績は悪かったけど、みんなをまとめる力はずば抜けていた。人をやる気にさせるのが上手な人ってやっぱりいるんだなー、私にはそういうのができないんだなあ、とぼんやり考えながら仕事していたのを覚えている。例に漏れず私もそのマネージャー(女性)のファンで、この人の言うことなら聞きたいなと思っていたので、彼女のマネジメント能力を羨ましく感じていた。

 

話は戻るが、新卒で入社した会社でも営業をしていた私。その会社は個人ノルマ達成が何より重要事項だったので隣の席の先輩も後輩もライバルだった。ただ、社員仲は悪いわけではなかった。

当時の私の隣の席は指導社員の先輩で、右も左も分からない私はこの人のことを段々と好きになっていった。でもそれは、教え方がうまいとか、そういうのじゃなくて、ガタイが良くてなんとなくかっこよく見えたから。

最初は良く見えたんだけど、先輩のずるさがどんどん見えてきて、しょっちゅう言い争いをするようになった。重要な部分は指導してくれないし、精力的に仕事をする私を邪魔することさえし始めた。

しまいには、私が受注してきた仕事を、この会社は俺が担当するなどとのたまって、仕事を取られたこともある。頭に来た私はそれを社内で言いふらして彼の評価をダダ下げにした。

営業での態度はマイルドな人だったので顧客からは人気があった人だったけど、ずるく数字を稼ぐ方法ばかり実践していて、大事な局面では助けてくれなくて、そのうち先輩のことは嫌になっていった。まあ後にその先輩も転職して、あの当時しょっちゅう遅くまで残業していた仲間はもうほぼあの会社にはいないんだけど。

 

それでも結構縁を大切にする私は、退職後も彼からのお願いがあれば力になったりはしていた。もう10年以上経ち、年に一度くらいやり取りするかしないかになったこの頃。

久々に来たラインが、今私が従事している仕事で上手いことやってルールをすり抜けて、お得に買い物できないか?という相談のラインが来て、人は変わらないものなんだなあと心底痛感した。

もちろんそのラインには、できませんね、残念です。と返事をしておいた。

 

せこいあいつは変わらない。

そしていっときは好きになってしまった黒歴史があるけど、せこいことなんて逆立ちしても出来ない今の夫と結婚して良かったなあとしみじみ思いながらビールを飲む夜。