わっさわさ

セカンドシーズン

美容師よ気付きたまえ(mm)

13連勤目の今日は、あかんかった。

やはり相当疲れていたのか、寝ても寝ても目を開けたら瞼が落ちてきて起きられない。

一度起きて出かけたものの、どうしても起きてられなくて急遽休みをとった。

 

夕方にむくりと起きると、身体がだるいのに気づきマッサージのサロンを探して予約した。

そのサロンはマンションの一室で、そこの一階には美容院が入っていた。

この美容院は私が昔通っていたところ。

中にいた昔の担当の男性と目が合いそうになったので、気付かれないよう足早に通り過ぎた。

私は、この男が嫌い。正確に言えば嫌いになった。

 

初めて会った時は彼は他の美容院で雇われていた。髪を扱うのが丁寧なのが気に入って、随分昔から通っていた。

やがて彼は独立することになり、このマンションの一階に美容院を出すことになった。

本当は、お客さんを引き抜いたらいけないんだけど、と言いながら新しいサロンの連絡が来た。私も他に探すあてがなかったので、そのまま新しいサロンへと通うようになった。

 

しばらくしたころ、美容院に行くと、

「mさんのところの会社の人、うちに来てますよ」と彼が言ってきた。

今思えば、この時点で個人情報の漏洩だと思うが、会社の人と言うのは入社してきた新人のことだった。

「朝起きるのが大変だと言っていました。」と。そして、彼は続けた。

「せっかく若い子が入ってきたんだから、遅刻くらい許してあげてくださいよ」と。

私はカチンときた。

じゃあお前の美容院で働いているスタッフがみんな遅刻して、美容院が回らなくなっても、お前はへらへら笑って許すのか?と。

そして、私がどう仕事するのか、どう部下を指導するか、お前に言われる筋合いはない、と強く思った。

もうここに来るのはやめよう、と思っていたら、最後には私のことを違うお客様の名前で呼んできて呆気にとられた。それから、その美容院に通うのはやめた。

 

それからよく思う。

当然のことだけど客とスタッフの立場で求められてもいないのにアドバイスや、不必要なことは言っちゃいけない。

お客様に向けてできることは、共感がすべてだ。アドバイスですら、求められていないなら自分の専門分野以外は避けておいた方がいいだろう。だって、私たちはお金とサービスとの交換をしているわけだから。

私だって、髪のケアのアドバイスなら受け入れる。でも仕事のことをとやかく言われたくはない。むしろなんで、美容院でそんな話をしないといけないんだ。

沈黙は金だ、と言う。黙れとは言わないけど、

無駄なことは言わない方がお互いに幸せだろう。

 

私は今でも美容院が苦手なまま。

未だお気に入りのところは見つかっていない。