母の価値観(mm)
私の母は強烈である。
でもきっとこの性格は後天的なものだと、私は思っている。
先日、私は旦那と一緒に祖母のお見舞いに行った。もう何度か一緒に来てくれているのだが、
母にはそのことが信じられないらしい。
「あんたの旦那、何で一緒にお見舞いに来てくれるの?」と言う。
「何でって、私のおばあちゃんだからでしょ。」と返す私に、
母は「信じられない。」と呟いた。
そして「私のときはそんなこと一度だってなかった」と続けた。
父親はまったくもって、自分の好きなことしかしない人だった。
何で結婚したの、と聞くと
そういう豪快な人が好きだったからと言っていたことがある。
家に帰ってこない、好きなだけお酒を飲む、好きなだけ女遊びをする。
結婚後すべての形で裏切られた母に出来上がった価値観は、
「自分の力しか信用しない」であった。
今でも徹底的に他力を利用しない母。
自分の力の出せる限りを使い、
頼れるのは自分しかいないと豪語する。
私が代わりにやった仕事を見て、感謝などすることなく「やっぱり私がやれば良かった。私がやった方がクオリティが高い」と平気で言う。
そういう態度に昔はよく苛々したけれど、彼女には、その彼女が作られたストーリーがあったんだよなあと思う。
私なら、クオリティが多少低くてもやってくれた人を褒める。褒めて、少しずつ出来映えがよくなるように研鑽を積んでもらう。
だって全部自分でやったら、大変だもの。
でも彼女には一生そんな選択肢など、生まれてこないのだと思う。他人に頼むと、裏切られる。これが彼女の大きな価値観になってしまっている。