わっさわさ

セカンドシーズン

想像力よ(mm)

前職一緒に働いた先輩から久々に連絡が来て、

会うことになった。

当時私はすごいワーカーホリックで、

その先輩と組織リーダーに一緒になって仕事をしていた。

 

先輩は、相変わらずワーカーホリックに歯止めはかかっていなくて、当時と変わらずすごく不器用な人のままだった。

当時から不器用で、必死で、認めてほしいという思いの強い人だと感じていたけれど、それに拍車がかかっていた。

 

私が驚いたのは、6年振りにあった彼女が、

まだ積もる話もしていない冒頭に、

「mmさんはどういう人生のプランを思い描いているの? 子どもはほしくないの?」と言い始め、

「子ども、ほしいですよ」と私はニコリと微笑んで答えた。

大抵の人ならば、ここでこの話は終わるだろう。ましてや彼女は私の結婚した時期も知っている。

 

しかし、彼女はそのまま

「避妊をしていないという事?避妊をしていないけれど、まだ子どもができないって事?」と

言い始めたので、開いた口が塞がらなかった。

思わず、「えらくダイレクトな質問ですね」と笑い返してしまった。

怒る気など失せてしまったのだ。

 

私は、私の長所であり短所でもあるのだけれど、あまり激昂したり、急に怒ったりがなかなかできない。

後でしばらく考えて、よくあんな失礼な事が言える人がこの世にいるもんだなあとしみじみ思ってしまうのだ。

 

彼女が一生懸命で、仕事が好きで、手を抜かない人であることは知っている。

だけど、致命的なほどに人への想像力が足りなくて、何度か驚いたことがあった。

この世にはね、子どもが欲しいからすぐにできる人だけが生きてるんじゃないんだよって誰か彼女に教えてあげてくれ、と思った。

そして、それを例え知らなかったとしても、やはりそれぞれの人生には触れていいところとあまり良くないところがあるだろう。

でも、彼女はただ真実が知りたかっただけで、この質問に悪気がなかったことも私には何となくわかる。

 

私に今子どもができない事、それによって色んな感情を味わっている事、そのおかげで私は想像力の幅を大きく広げることができたんだなあと思う。

彼女のような先輩の言動に、腹は立つけれど、彼女もまた彼女の人生しか経験をしていないのも事実だ。

 

これから先の人生、私が経験しなかった、他者の人生にその先の想像力を携えて、接することができるようにしたい。

私達は最後まで自分の人生しか知らない。

だけど、想像力を使って優しく生きていけたらいいんだけど。